下水道排水設備工事責任技術者

下水道排水設備工事責任技術者とは?仕事内容・試験・取得方法を解説

下水道排水設備工事責任技術者は、市町村の指定を受けた工事店(指定工事店)で、宅地内の排水設備工事の設計と施工管理を受け持つ技術者の資格です。指定工事店になるには、この資格を持つ人を置くことが条件になっている自治体が多く、設備・水道工事の会社で取得を求められることがよくあります。

取得するには、地域の実施団体が行う試験に合格し、登録します。試験問題は全国共通ですが、試験日・受験料・受験資格・資格が使える範囲は地域ごとに違います。 この記事では、全国共通の部分と地域で違う部分を分けて整理します。

この記事の情報について

2026年10月7日時点で、日本下水道協会・各地の実施団体・e-Govの公表内容を確認して書いています。日程や料金は毎年変わるため、申し込む前に必ずお住まいの地域の実施団体の案内を確認してください。

この記事でわかること

  • 下水道排水設備工事責任技術者がどんな資格で、何ができるのか
  • 国家資格ではないことと、資格の根拠
  • 試験の全国共通の部分(出題数・配点・合格基準)と、地域で違う部分
  • 合格から登録・更新までの流れと、勉強に使う公式教材

情報の基準日:2026年10月7日

下水道排水設備工事責任技術者とは

「排水設備」は宅地の中の下水の設備

下水道は、道路の下を通る公共下水道と、各家庭や事業所の敷地の中にある排水設備に分かれます。台所・トイレ・風呂などから出た汚水を集め、公共下水道へ流し込むまでの管やますが排水設備です。

下水道法 第10条では、公共下水道が使えるようになった地域の土地の所有者などに、排水設備を設置する義務を定めています。

区分 主な場所 設置・管理する人
公共下水道 道路の下など 原則として市町村(下水道法 第3条)
排水設備 敷地の中 土地や建物の所有者など(下水道法 第10条)

責任技術者の役割

東京都下水道局の「排水設備要覧」では、責任技術者の役割を次のように説明しています。

排水設備工事を施行するにあたり、関係法令等を遵守し工事の設計、施工管理を行うとともに、工事に従事する者の安全を確保する役割がある。

つまり、排水設備工事の現場で「法令や基準に合った設計・施工になっているか」を管理する立場です。東京都では、工事に従事するときは資格者証と責任技術者証を携帯することも求められています。

指定工事店との関係

多くの自治体では、排水設備工事は指定工事店でなければ行えません。そして指定工事店の条件として、責任技術者がいることを求めています。

  • 東京都23区:事業所ごとに、下水道局に登録した責任技術者を1名以上選任していることが指定の要件
  • 札幌市:指定を受けるには、市に業務登録された責任技術者を選任する必要がある
  • 広島県内の市町:指定を受けるには、責任技術者の在籍が要件

国家資格ではない

この資格は国家資格ではありません。千葉県下水道協会の受験案内には、共通試験について「国家資格試験ではありません」と明記されています。

下水道法の本文にも「責任技術者」という言葉は出てきません。資格の根拠は、各自治体の下水道条例や指定工事店の規程です。たとえば東京都では、東京都下水道条例と東京都指定排水設備工事事業者規程に基づいて試験と登録を行っています。

制度のしくみは国家資格かどうかを詳しく解説した記事でまとめています。

資格を取るまでの流れ

順番 やること 時期の例(2026年度)
1 受験資格を満たしているか確認 申込前
2 地域の実施団体に申し込む 4月〜9月ごろ(地域で大きく違う)
3 (希望者)受験講習を受ける 講習がない地域もある
4 試験を受ける 8月〜12月ごろ、年1回
5 合格発表 試験の1〜2か月後が目安
6 登録して責任技術者証を受け取る 合格後
7 5年ごとに更新講習を受けて更新 確認できた地域はいずれも5年

各段階の詳細は、受験資格・申込方法と受験料・受験講習・試験日・合格発表・登録手続き・更新の各記事で解説しています。

試験の概要(全国共通の部分)

日本下水道協会は、全47都道府県の試験実施機関に試験問題を提供しています。協会が公表している試験問題の形式は次のとおりです。

項目 内容
出題範囲 下水道法令と「下水道排水設備指針と解説」の項目
内容 地域性を排除した全国共通的な内容
出題数 30問
出題形式 択一式・穴埋め式・○×式の組み合わせ
解答方式 マークシート
配点 100点満点(法令30点・技術70点)
合格基準 総得点70点以上、かつ法令・技術それぞれ得点率50%以上

試験時間は全国で統一されていません。 日本下水道協会のページに試験時間の記載はなく、2026年度の案内を確認できた地域では、東京都・栃木県・三重県・北海道などいずれも2時間でした。

注意したいのは合格基準です。合計が70点を超えても、法令(30点満点)で15点に届かなければ不合格になります。技術だけに力を入れる勉強法は危険です。

協会が公開している問題例は2問とも、長い文章の空欄に語群から言葉や数値を選ぶ穴埋め式でした。1問に空欄が5つあるため、30問でも解答の数はそれより多くなります。滋賀県建設技術センターは、マークシートの解答欄が80欄あると公表しています。

形式や配点の詳細は試験情報まとめ、公式の問題例の入手方法は過去問の記事で解説しています。

地域によって違うこと

試験問題は共通でも、試験を実施して資格を認定するのは各地域の団体です。2026年度(令和8年度)の案内で確認できた例を並べます。

地域 実施団体 試験日 受験料 受験講習
東京都(23区) 東京都下水道局 10月4日 6,180円(オンライン) 局の案内に記載なし
千葉県 千葉県下水道協会 9月19日 11,000円 協会主催なし
栃木県 とちぎ建設技術センター 10月20日 7,480円(試験のみ) あり
三重県 三重県下水道公社 11月26日 8,000円 実施していない
滋賀県 滋賀県建設技術センター 11月10日 8,000円 あり
広島県 広島県下水道協会 11月29日 5,000円 —
鹿児島県 鹿児島県下水道協会 11月1日 5,000円 —

※「—」は公式ページで記載を確認できなかったもの。

ほかにも、次の点が地域で違います。

  • 受験資格:千葉県・栃木県などは満20歳以上が条件。実務経験の年数も、栃木県は学歴を問わない場合3年と、2年としている多くの地域より長い
  • 資格が使える範囲:栃木県と滋賀県は、他県で取った資格は使えないと明記。千葉県は他県の共通試験合格者も登録できる「外部登録」を設けている
  • 更新の手数料や講習の方法:会場で受ける地域、動画やeラーニングで受ける地域がある

「共通試験だから全国どこでも使える」わけではありません。 働く地域で登録できるかどうかは、その地域の実施団体に確認してください。お住まいの地域の実施団体は、日本下水道協会の都道府県別の試験実施機関一覧で調べられます。

合格率と難易度の目安

全国の合格率は公表されていません。合格率を公表している地域の数字は次のとおりです。

地域 年度 受験者 合格者 合格率
東京都 2025年度(令和7年度) 538人 266人 49.4%
滋賀県 2025年度(令和7年度) 117人 46人 39.3%
栃木県 2025年度(令和7年度) 101人 51人 50.5%

受験者のおよそ半分前後が不合格になる試験です。東京都の2025年度の平均点は68点で、合格ラインの70点をわずかに下回っていました。

年度ごとの推移は合格率の記事、必要な勉強時間は難易度の記事で解説しています。

勉強に使う公式教材

日本下水道協会は、参考図書として次の2冊を挙げています。出題範囲のもとになっている「下水道排水設備指針と解説」もあわせて紹介します(価格は協会の発行図書一覧に載っている一般販売価格)。

書名 価格(税込) 役割
排水設備工事責任技術者講習用テキスト 2,530円 出題範囲の内容を理解する
排水設備工事責任技術者試験標準問題集 2,090円 本試験と同じ形式で練習する
下水道排水設備指針と解説 2016年版 8,140円 出題範囲の原典。辞書として使う

教材の選び方と使い分けはおすすめ問題集・教材の記事、勉強の順番は独学の勉強方法で解説しています。

よくある質問

国家資格ですか?

いいえ。各自治体の条例や規程に基づく資格です。千葉県下水道協会の受験案内にも「国家資格試験ではありません」と書かれています。

合格すると何ができますか?

登録すると責任技術者証が交付され、指定工事店の責任技術者として排水設備工事の設計・施工管理を担えるようになります。合格しただけでは足りず、登録が必要です。

更新は必要ですか?

必要です。確認できた地域では、いずれも有効期間は5年で、更新講習を受けて更新します。手数料や講習の受け方は地域ごとに違います。

他の都道府県でも使えますか?

地域によります。栃木県・滋賀県のように他県の資格は使えないと明記している地域もあれば、千葉県のように他県の合格者を登録できる地域もあります。

まとめ

  • 指定工事店で排水設備工事の設計・施工管理を担う資格で、国家資格ではない
  • 試験問題は日本下水道協会の共通問題(30問・法令30点+技術70点・70点以上かつ各区分50%以上で合格)
  • 試験日・受験料・受験資格・試験時間・資格が使える範囲は地域ごとに違う
  • 合格率を公表している地域の2025年度の数字は39〜51%

まずは受験資格と、お住まいの地域の試験日を確認するところから始めてください。

一次資料・参考資料

  1. 日本下水道協会「排水設備工事責任技術者試験 試験問題の形式について」
  2. 日本下水道協会「排水設備工事責任技術者試験の各都道府県における実施機関」
  3. 日本下水道協会「排水設備工事責任技術者試験 試験問題例」(PDF)
  4. 日本下水道協会「発行図書一覧」
  5. e-Gov法令検索「下水道法」
  6. 東京都下水道局「排水設備要覧」(PDF)
  7. 東京都下水道局「令和8年度排水設備工事責任技術者資格試験のご案内」
  8. 東京都下水道局「令和7年度 排水設備工事責任技術者資格試験の実施結果」
  9. 千葉県下水道協会「受験案内(令和8年度)」(PDF)
  10. 広島市「下水道排水設備工事責任技術者」
  11. 札幌市「令和8年度北海道排水設備工事責任技術者試験のお知らせ」
  12. とちぎ建設技術センター「下水道排水設備工事責任技術者」
  13. とちぎ建設技術センター「よくある質問」(PDF)
  14. 滋賀県建設技術センター「試験、受験講習、登録申請」
  15. 滋賀県建設技術センター「合格発表」
  16. 三重県下水道公社「試験のご案内」
  17. 鹿児島市「排水設備工事責任技術者試験」

2026年10月7日時点で上の資料を確認して書いています。試験日・受験料などは変わることがあるため、申し込む前に必ず実施団体の最新の案内を確認してください。

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